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これまでの活動

発言例全文紹介②

日時:2019年2月21日(木)
場所:長野県議会本会議
内容:一般質問
制限時間:12分以内

2015年9月に発生した関東東北豪雨、鬼怒川の大災害を踏まえ、同年12月に社会資本整備に関する審議会より「大規模氾濫に対する減災のための治水対策の在り方について」と題する答申がなされました。それによると気候変動により、ダムや堤防などの能力を上回る洪水がますます起こると予想されることから、社会の意識を「施設の能力には限界があり、施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」へと変え、社会全体で洪水氾濫に備える必要があるとしています。今までの「治水」や「利水」といった川を治めるという考え方から、私たちの生存基盤である自然の川と「共存」していく、という方向に考えを変えていかねばなりません。またダムや高い堤防をつくることで、川のすぐ近くまで生活の場を広げてきましたが、それは鬼怒川のケースのように、ひと度、計画規模以上の洪水が起こると、その被害も甚大になります。氾濫による被害を受けやすい場所には生活空間をつくらず、被害を受けにくい場所に居住や都市機能を徐々に移転するなど、土地利用の状況を考慮した対策が必要です。

そこで冒頭に、三か年緊急対策に関連して、防災について伺います。洪水ハザードマップの公表状況については、県内では昨年9月末時点で55の市と町が公表しているものの、L2、即ち1000年に1度の規模といわれる想定最大規模降雨による洪水ハザードマップを公表している市町村は数えるほどしかありません。現状と今後のスケジュールをお示しください。また「そうはいっても自分は大丈夫だろう」という心理が人間には働くといいますから、国では住民一人一人の適切な避難確保に向け、マイタイムラインの作成などを推進しているようです。住民に当事者意識と主体性をもってもらうため、県ではどのようなメニューを用意しているでしょうか。あわせて、河川の氾濫による家屋倒壊等が想定される地域住民に対しては、普段から警鐘を鳴らし、都市計画を勘案した居住移転等の方策を考えていかねばなりません。如何なる施策を講じているか、以上建設部長にお伺いします。

さて、文明は川の流れとともにあり、都市は水際に発達する、といいます。西ではヴェネツィア、アムステルダムなど、河川や運河が繁栄の礎となった歴史都市は多く、東では例えば長江沿いに、上海、南京、重慶といった名立たる都市が並ぶなど、これらを挙げれば枚挙にいとまがありません。川辺の再開発を活性化の契機とした都市も多く、リバーウォークの再生によって、南部有数の観光都市に転じたアメリカのサンアントニオなどは早い成功事例といわれます。規模の大小はあるにせよ、このような事例は日本国内でも見られますが、では信州はどうでしょうか。先のように100年に一度、1000年に一度の備えをしっかり行うと同時に、災害のおそれのない残りすべての時間を、それぞれの水辺のシーンに合わせて有効な施策を打ってきたかといえば、私はそうではないと思います。とりわけ地方の活性化に焦点があたる今日、ウラとなった水辺を再びオモテに変えることは、単に都市のなかに憩いの空間をつくるというだけではなく、また未利用地を有効活用するというだけでもなく、それをマグネットにして、水辺と都市、あるいは農村部を結び付けながら、新しい地域を再創造する構想力を持つと思うのです。

ひとつ、松本市の中心部を流れる女鳥羽川を例にあげてみたいと思います。この川は長野県の事業として市街地にほど近い場所については平成14年までに整備事業が完了し、その上流部についても一昨年をもって一通りの改修工事を終えています。まちづくりの観点からも様々な経緯をたどってきましたが、近年は一昨年に「楽しい女鳥羽川を創ろう!」と題したワークショップが開かれるなどしたものの、次のステージに向けたビジョンはいまだ見えてきません。

この女鳥羽川を舞台に毎年数回、水辺のマルシェというイベントが開かれています。河川敷を利用して農産品から工芸品まで、出店を出したり、作家やアートパフォーマーの企画があったりと、水辺空間の賑わい創出にかかる様々な催しがあります。先日この実行責任者の方とお話する機会があり、2011年から始まったこのマルシェは、年々出店数が増え、今では出店するスペースが足りないほどになっているとのことでした。マルシェに対するニーズはあるし、その意義も大きい一方で、当初のスタッフが仕事の関係や産休などで次々といなくなり、イベントにかかるマンパワーが足りず、ボランティア頼みの運営にならざるを得なかったり、自然相手には河川敷に茂る雑草に手を焼いたり、また近隣商店街との調整に奔走したりと、苦労も多いようです。女鳥羽川は江戸時代から舟の運搬、舟運があり、明治に入ると北陸からの魚が豊富に運ばれ、女鳥羽川南岸にはたくさんの魚屋がならび、川沿いはたいへん賑わっていたといいます。この舟運も、現在の国道19号や、JR篠ノ井線が開通するに至って、姿を消すことになりました。歴史を傍らに、地域を盛り上げようと奮闘する方々とともに再び川沿いの賑わいを仕掛けることは、「人をひきつける快適な県づくり」を目指す、知事の方針と合致するのではないでしょうか。長野県のより積極的なアプローチを求めます。

そこで伺います。川が紡ぎだす自然環境は私たちの生活基盤であり、より魅力的なものにして、人々の生活に潤いをもたらすとともに、地域経済の活性化に活用することが望まれます。河川法の改正後、川の改修を行う際など、あらゆる機会を通じて「多自然川づくり」に取り組むとされてきましたが、国管理の一級河川に比べ、自治体管理河川での浸透は進んでいません。県内各地で断続的に河川の改修工事が行われていますが、県内の「多自然川づくり」の方針と、それを特に意識してつくられた河川の県内事例をご紹介ください。

平成21年にはかわまちづくり支援制度が創設され、県内では長野、上田、諏訪湖、伊那の4地区が登録したとお聞きしています。その後は平成23年度に河川敷地占用許可準則を改正し、要件を満たす場合、営業活動を行う事業者等による河川敷地の利用を可能とした、いわゆる河川空間のオープン化が実施されました。全国的にはオープン化の活用実績が現在累積で60件ほどあるようですが、県内事例はあるのでしょうか。また昨今は国交省が支援する、水辺の利用者を増やし、水辺を徹底的に活用する運動、ミズベリング・プロジェクトがにわかに活気をおびています。これらかわまちづくり、河川空間のオープン化、ミズベリングなど、水辺空間の賑わい創出事例について、直近5年間では県内ではどのような動きがあったのか、それらをどのように評価しているか、以上建設部長に見解を求めます。

この点、今年の秋ごろを目途に開設を予定している「信州地域デザインセンター」には大いに期待を寄せています。昨年まで2年間、建設委員会でお世話になり、特に都市まちづくり課とこれらの課題について様々なやり取りをしたことは記憶に新しいですが、創造的で快適な公共空間の形成という意味では長野県はまだまだ遅れており、若者を惹きつける仕掛けがハードソフト両面から足りないと思います。特に水辺と人々の関係には、散歩、憩い、ビジネス、観光、歴史文化、祭り、レクリエーション、交通、人の流れ、景観など、再構築されるべきコンテンツが多分に眠っています。水辺空間のにぎわい創出を含め、信州地域デザインセンターに期待する役割は何か、知事のご所見を伺います。

最後にもうひとつ、この4年間の政務活動を通じて感じたことを伺います。

地域振興局を設置して、もうすぐ2年を経過しようとしています。地域で生じている課題や県民ニーズを的確に把握し、スピード感をもって主体的かつ積極的に取り組む組織へ、という理念に賛同する一方、このままでは依然として地域の持つポテンシャルを充分に引き出せないのではと懸念しています。というのは、振興局ごとに今年度掲げられた横断的な課題をみてみると、隣接する振興局と重複する事項がかなり多く、激動のグローバル社会で長野県が効果的に成果をあげるには、その枠組みを再考する必要があるように感じます。例えば松本地域の課題として掲げられた3つの課題「まつもと空港の利用促進」「大規模地震災害への対応」「交通軸の整備による郷土づくり」は、いずれも隣接する北アルプス地域や木曽地域を含めた中信地区全域で共有し、推進されるべきもので、かたや北アルプス地域の課題をみてみると、まず冒頭に「北アルプスの雄大な自然と安曇野の田園風景を活かした観光振興」という言葉が出てきます。安曇野市はこっちの振興局に入るんだっけ、と思う人も多いでしょうが、それはそれとしても、上高地をはじめ冠たる山々を有する松本・安曇野地域が、同地域とこれまた足並みをそろえて北アルプスに関連する政策を展開した方が、そのスケールメリットを存分に活かすことができ、最大限の成果をあげられます。長野地域と北信地域の関係もそれに共通するものがあるでしょうし、ともにリニア関連の事業を前面に押し出す上伊那と南信州の南信地域についても、同様のことが言えるのではないでしょうか。

ひとつの司令塔と簡素かつ明確な指揮系統のもとに圏域内におけるメリハリ強化を徹底し、都市部をより都市らしく、農村部をより農村らしく磨き上げ、相互の対流を促進することによって、地域内循環が活発化し、複合的・重層的な地域の魅力が出てくるのだと思います。本日扱った河川でいえば、たとえば山麓から下流に向けて、河川敷沿いに整備されたサイクリングロードを、自転車で颯爽と駆け抜け、いくつかの行政区をまたいで市街地に入ったら河川空間のオープン化で、人々が賑わう空間になっていた、というようなデザイン。あるいは郊外に整備されたアウトドアの拠点でカヌーやラフティングなどを楽しんだのち、街なかにもどったら川沿いに美術館や博物館など、文化的な空間が広がっていた、というようなデザイン。県内外の誰しもがこのような利益を享受するためには、いまの中間圏域行政の枠組みをこえた、より広域的なトータルデザインとダイナミズムの中で都市計画や環境政策を一体的に推進する必要があります。

昔の長野県民はたいへん洞察が深かったと思いますが、そもそも長野県は4つの平ら。それぞれが肥沃の地であります。県民にもっとも馴染みがあり、いま再び政策的にも深い連携が求められる4つの平らが互いに切磋琢磨する姿こそは、新時代にふさわしい姿ではないでしょうか。以上を踏まえ、今後は出先機関は残しながらも、中信、南信、東信、北信の4地域単位をベースに振興局を統合・再編していくべきではないか。地域振興局の今後の展開について伺い、今回の一切の質問とします。