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一般質問全文20180226

本日はSDGsを踏まえた政策について伺います。
リオで1992年に開催された地球サミットから、2010年のCOP10、2012年のリオ+20などを経て、2015年9月、193の全国連加盟国は持続可能な開発目標 「SDGs」を掲げました。これまで「開発目標」というと、遠い開発途上国の問題と聞こえた節もありましたが、毎朝飲んでいるコーヒーや、洗顔に使う石鹸、身に着けるシャツなど、・・・原料を辿れば開発途上国に行きつくものも多く、またビジネスでもサプライチェーンのどこかでそれらに関わりを持つケースがありました。そこでSDGsでは、前身のミレニアム開発目標で十分に手を打てなかった課題に加え、リオ+20で議論された深刻化する環境課題など17の目標と169のターゲットに全世界が取り組むと合意されています。
同じくかつて、環境と経済は両立しないのではとも言われましたが、全くそんなことはなくて、それは近年の投資家の動向を見ても明らかなこととなってきました。環境、社会、企業統治のいわゆるESGに積極的に取り組む企業に投資するESG投資はここ5年間急増し、世界のサステナブル投資額は2012年の1596兆円から2016年には2755兆円へと急増、今グローバルでは多くのCEOがサステナビリティへの取り組みを”important(重要なこと)”ではなく”crucial(決定的に重大なこと)”だと考え始め、既に80%以上のCEOがサステナビリティがビジネスの成功をもたらすイノベーションの根源であると考えている、とのことです。
同様に日本のサステナブル投資額は、2014年には1兆円に満たなかったものが2016年には57兆567億円に跳ね上がりました。世界最大の機関投資家で約140兆円を運用するGPIFもついに本格的なESG投資に乗り出し、環境や社会、ガバナンスの取組みに優れた日本企業を選んで昨年7月から1兆円規模で投資を開始、先の11月には理事長が「将来的には数兆円程度の資金をESG投資に振り向ける」と発表しています。
かかる動向からも推察されるように、SDGsは先進国も対象となる普遍的目標として、全世界的に企業やNGOによる取組みが着々と進み、国内の各地方レベルにも、その着実な履行が求められています。自治体の取組みは地域特性などに応じて多種多様で、例えば、古い街並み保存活動のようなものは、将来にわたって持続可能なまちと地域社会を形成するのでSDGs目標⑪と、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するので目標⑧を、また高次元農業の実践はディーセント・ワークと経済成長に資するので同じく目標⑧と、持続可能な産業化とイノベーションを促進するので目標⑨を、林業では豊富な森林資源を活用した木質バイオマス発電の普及などが再生可能エネルギーの活用に資する目標⑦を満たす、などとされています。一般会計予算9000億円近くを有する長野県においては、全部局でSDGsを意識した政策を展開して頂きたく、実際に次期五か年計画案にはSDGsに関する記載がしっかりありますので、その点に期待を寄せています。そこで今回はまず、来年度の事業において最もSDGsを重点意識した施策は何なのか、それがどの目標に資するものかを合わせて産業労働部長、観光部長、農政部長、林務部長にお尋ねします。
その上で私が問題意識として持っていることは、殊にこれを環境というニュアンスでとらえた場合、それが及ぶ範囲は産業労働から、観光、農林業、建設、教育、福祉など実に広範で、例えば開会日の知事説明における「地球環境への貢献」という項目欄だけを見てみても、「再生可能エネルギー100%地域」の実現を目指すこと、省エネ改修や環境配慮型住宅の支援をすること、企業局においては水素ステーションなどを整備すること、「ネイチャーセンター基本方針」を新たに策定してエコツーリズムを促進すること、などが記載されており、これらは軒並みSDGsに貢献するものであるものの、環境部や環境保全研究所などが果たしてこれらにどれだけコミットできるのかは不可解であり、問題だと思うことはそれらの環境戦略を包括的に取りまとめたり実行させる司令塔が不在であるということです。それは国においても同様で、それぞれの省庁の考えた政策を総合的に調整するのは主に内閣府であり、経済や財政に関する諮問会議をはじめ、科学技術や防災、男女平等に関するものなど様々な分野の会議が開かれていますが、最も重要な政策であるはずの自然や環境に関する会議は無いに等しい状態で、対して例えばアメリカでは大統領府に環境諮問委員会を置き、同委員会は個々の政策の実行を担う農務省や環境保護庁などの機関よりも一段高い立場から、省庁間の総合的な調整や、政府の実施する政策についての評価、大統領への助言・勧告、政策の立案など、様々な役割を担っています。
もう一つ重要なことは、客観的かつ具体的な指標をもって環境政策を展開する必要があるということです。信州が「自然豊か」で、「美しい環境に囲まれて」いることは誰もが認めるところですが、果たしてそこにどれだけの価値が眠っていて、政策的にどのように応用でき、県民や将来世代にいかほど還元できるか、数値化への取組みが弱いと感じます。数年前までGLOBEという自然や環境にまつわる議員連盟に所属し、リオ+20の翌年、2013年のドイツ連邦議会で行われた自然資本サミット、2014年にメキシコ下院議事堂で行われた第2回GLOBE世界議員サミットに出席し、発言の機会を頂きました。ここで話し合われたひとつの主要課題は、自然資本、すなわち自然生態系の経済的価値を正しく評価し、それを最終的にGDPなどの国家的な勘定体系に組み込んでいこうとする試みで、例えば干潟に生息するゴカイやアサリなどが持つ水の浄化作用は、1000haで10万人相当の下水処理能力に匹敵すると試算されています。開発などによりそれ相当の干潟を喪失すると、人工的に補うためには浄水場設備投資約1000億円弱に相当するコストが発生し、また、同面積の干潟における漁業の水揚げと生産機能はそれぞれ1年間で約50億円とされています。開発によって生じた利益や人工資本がいとも簡単に計算されて表に出てくる一方、その裏で被っている損害は到底看過できない水準でありながら表には出てこないので、それがGDPなどの国家勘定の枠組みになると相当な齟齬が生じてくる。ゆえに生態系価値を含めたコスト・ベネフィット計算をする必要があるのではないか、というのがその問題意識です。最近よく耳にする、どこどこの森林の価値は何億円に相当し・・・という話のベースも自然資本にあり、企業がそれらを含めて適切な経営判断ができるよう、一昨年には自然資本プロトコルが発表されています。国内では、内閣府の「環境未来都市」に選ばれている北海道の下川町が自然資本を活かして地域を創造するという「自然資本宣言」を2013年に発表し、自然資本に立脚した町づくりを進めてきました。同町は町の価値を「見える化」するため、自然資本の価値を独自に評価して、その価値を988億円と弾き出し、その価値から生み出される恵みを都市の企業にどう活用してもらうかに知恵を絞っているといいます。
以上を踏まえ、ひとつには、SDGsやESG投資など、狭義の環境の垣根を超えて大きな変化がある中で、環境政策など持続可能性ある政策を、戦略的・体系的に指揮できる会議体の創設が必要でないか、ふたつには、まさに自然豊かな信州において、現状の環境施策においては自然資本会計の導入、あるいはその発想に基づく施策展開がまだ不十分と感じるが、どのように捉えておられるか、お尋ねします。
さらに、これらをより具体的な事例に落とし込んで問いますが、SDGsやESGの考え方を踏まえると、私は県内の河川や湖沼についても、治水の在り方からまちづくりへの活用まで、近々転換期が来ると思っています。たとえば先日の代表質問では、県内の湖沼が全県的にCODの値などで課題を抱えていることが改めて浮き彫りになりました。県民の悲願ともいえる諏訪湖再生の彼方に見えるのは、山紫水明の県内に広く点在する湖沼やそれに連なる河川の再生であったり、その恒常的な利活用であったりするわけですが、そのためには湖沼とつながる河川はもちろん、それらと連関する森林や街なかの全事象を対象とした多面的かつ統合的なアプローチが重要です。また地域振興局が動き出した今般、地域特性に応じた施策が展開されることを期待する傍らで、諏訪湖の問題を諏訪地域限定マターに矮小化されてとらえられることは避けねばならず、改めてその全県的な位置付けを再定義する必要があると思います。県としては新たに「諏訪湖環境研究センター(仮称)」を創設し、その中で県内の河川や湖沼についての取組みも進められるようですが、そうではなくて、まずは先述のような会議体において県内の河川・湖沼の課題と今後10年20年の姿を網羅的にしっかり洗い直したうえで、その中核的なプロジェクトとして諏訪湖創生ビジョンなり、諏訪湖環境研究センターなりを位置付けた方が体系的に優れ、県内波及効果がより大きいのではないでしょうか。そして諏訪湖再生に取り組む際には、たしかに自然資本会計の手法自体はいまだ途上であるものの、自然資本の考えに立脚した可能な限りの数値目標や経済的指標を掲げることは大変大事なことだと思います。諏訪湖がかつて綺麗だった時代と比べ経済的にどれだけ棄損されているか、逆に諏訪湖再生により、まちづくりや観光、下流河川もふくめた水産資源に将来的にどれほどの経済的価値をもたらすのか、あるいは再生された自然環境の中で育まれる教育効果などはいかほどなのか、などをより客観的に提示することができれば、県民の諏訪湖再生に向けた思いも強まり、次の好循環を生むと考えますがいかがでしょうか。
昨日まで冬季五輪が華やかに実施されました。思い起こせば2004年のアテネ五輪では工場の劣悪な労働環境をめぐって、スポーツウェアメーカーが批判を浴び、2008年の北京五輪では違法伐採木材の仕様がNGOから追及され、2020年の東京オリンピックに向けていま、組織委員会は「持続可能性に配慮した調達コード」を発表するなど敏感に動いています。華やかな舞台の裏側まで視線が注がれるようになった今日、NAGANOはあれから20年30年たっても日本をリードするような政策を展開している。との声に、想いを馳せますが如何なものか。以上の点に関する知事の見解を求め、今回の一切の質問とします。