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長野県議会議員の定数及び選挙区に関する条例の一部を改正する条例案」

「長野県議会議員の定数及び選挙区に関する条例の一部を改正する条例案」につき、長野県議会本会議において賛成討論を行いました。発言の制限時間は5分程度とされています。

<以下、発言文>
本条例案につき、賛成の立場から討論します。
自分の持っている一票の価値が隣に座っている人の半分にも満たないという、民主主義の根幹に関わるこの問題は、昭和51年の法令違憲判決以来、より緊張感を高め、近時の最高裁は、以前よりも厳格に立法裁量を統制する姿勢に転じました。そうした展開の到達点が、平成23年3月23日、および平成24年10月17日の両最高裁判決で、これらは国会をめぐる判決でしたが、特に前者においては人口比例原則、即ち「議員1人当たりの選挙人数または人口の平等を最も重要かつ基本的な基準」としたこと、議員は全国民の代表であり、相対的に人口の少ない地域への配慮は「全国的な視野から」なされるべきとして、いわゆる過疎地域への配慮論を否定したこと、また較差1対2.304をいわば違憲状態であると判示したことなど、実質的な判例変更の立場をとり、いまはその延長線上にあると言えます。
憲法価値や公選法を頂点とする法体系の中にあって、国会と地方議会ではこれらの考え方が全く異なるということは無いのであって、かかる変化は、地方議会における一票の較差に関する判例法理にも、当然再検討を迫るものであります。その意味ではそれらについて直接的な言及がなかった平成27年と28年の地方議会に関する最高裁判決は積極的な意義は持ちえず、較差是正への修正となる、地方議会の裁量に如何なる余地があるのかは、法令の趣旨に則って慎重に検討されねばなりません。
そこで公職選挙法に立ち返るに、2013年改正前の公選法も、具体的な定数配分においては人口比例を原則として定め、都道府県議会議員の選挙区については15条1項で「郡市」を基本単位としました。それによって当然生ずる一票の較差は、強制合区・任意合区という15条2項以下の明文規定によって立法的に緩和する仕組みがとられ、定数配分において人口比例原則からの乖離を正当化する事由としてよく掲げられる「地域間の均衡」は、同条文のはるか後方、8項但書にいわば補足的に規定されています。そこで予定される考慮事由は、かかる文言解釈や立法の仕組みなどを対比してみても、衆議院の選挙区制における国会の考慮事由よりも限定されたものといえます。そしてその国会の裁量幅自体が先の判決によってだいぶ狭められたことからすれば、さらに狭いであろう地方議会の裁量において考慮しうる地域の事情というのは、我々が思っている以上に、実は議論の拠り所にはなりにくいものです。
さらに、その流れを受け継ぐ2013年の法改正は、2009年の全国都道府県議会議長会の声明発表、すなわち既に郡が行政単位の実質を失い、市町村合併の進行により郡の存在意義が変化したことを理由にしたものでありましたが、そこで期待されたことは、各都道府県が、郡を選挙区とする原則によって生じてきた一票の較差を自主的に是正する事でした。よって、例えば長野県は町村の数が多いという事由は、長野県議会が選挙区の再編に向けて最も抜本的な見直しが迫られているという理由にこそなれ、地域の諸事情に鑑みて現状を維持すべき、などという理由にはなり得ず、選挙区割りの自由度が高まったことと相応して、都道府県議会による地域的ゲリマンダリングの可能性が従来よりも高まったことには、十分な注意と警戒が必要です。
以上に照らし、本条例案は較差の是正に資するものとして、賛同すべきと考えます。もっとも、較差の是正幅は大変小さく、それは今回一票の較差を概ね2倍程度と決めたことにも起因するのでしょうが、例えば1対2とか1対3として示される司法の判断はあくまでも許容限度としての話で、立法部門に準ずる議会が目指すべきは限りなく1対1に近い数字、最低でも2倍以内を限度とする学説上の多数説に則るべきです。また、法令や判例の趣旨に鑑み、県議会議員は第一義的には一人ひとりが全県民の代表であるべきで、ゆえに特定の地域や世代、団体への配慮も公平公正な全県的な視野からなされるべきで、そうした時に定数1の選挙区がまだ数多く残されていることは、領域全体が抱える集合的な課題よりも、各選挙区における個別的な利害に対して敏感に反応しがちになる議員の傾向が助長されるおそれがあり、それは結果として県全体の発展を阻害し得ますから、特に一人区と飛び地の解消には力点を置きつつ、一票の較差是正に向けて今後も不断の見直しが必要である、ということを申し添えて、私の賛成討論とします。