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木材自給圏の構築に向けて

6月議会が佳境を迎えています。

先の一般質問の全文を掲載致します。

制限時間8分以内での質問です。

森林組合や川上の森林政策についてお尋ねした前回に続き、今回は木材自給圏の構築に向けて、川下の需要、県産材の利用促進について計4点伺います。

まず住宅政策についてお尋ねします。一般にリフォームのきっかけは内外装の木質化よりも、キッチンや浴槽などの水回りを新調したいという動機が圧倒的に多数です。そこで県の「信州型住宅リフォーム助成金」を利用する際に、以下のような実態を少なからず側聞します。例えば、ひとつに「外壁・屋根・床など又は開口部の断熱性を高める工事」という助成要件に対してはトイレのわずか30センチ四方の窓枠を新しいサッシに取り換え、ふたつに「県産木材の内外装仕上げ材を10平米以上使用する工事」という要件に対しては薄っぺらい木材を用いて一部屋分の腰壁をつくり、みっつに「バリアフリー改修工事」という要件に対しては近所のホームセンターで売っている肩幅ほどの手すりを備え付け、それらを安価で済ませて、浮かせた補助金で水回りをより手厚く改修する。という具合です。そもそもこの制度が有用なものか、という話はまた別の機会に譲るとして、少なくともこの場面における県産材普及の効果は、省エネ化推進、移住促進など他の目的と混然一体となって、結果的に極めて低いものになっていると言わざるを得ません。かたや、建築における木材利用が多方面にわたって重要なウェートを占めていることは厳然たる事実であります。
したがって、新築案件も含めこれらの枠組みとは別に、補助金助成よりも、根羽村の「根羽スギの柱50本提供事業」のようなものを参考にしながら、現物支給による助成制度の導入を検討すべきではないでしょうか。県民にとって単にお金の足しになるということよりも、県の独自性を出しながら、制度趣旨の明確化、補助金の高付加価値化、地元山林への効果的な利益還元を狙った政策を打ち出すべきであります。新制度の設立について林務部長に見解を求めます。

次にバイオマス事業について伺います。林務部が進める「森のエネルギー総合推進事業」において、薪、チップ、ペレットなどを作り出す供給施設整備に関して今年度は約8,200万円の予算が計上され、それらを消費する利用施設整備、即ち木質バイオマスボイラー及びストーブの導入予算の4倍近くとなっています。懸念するのは、それら補助対象となった供給施設が商業的に成り立つかどうかということで、例えばドイツにおいてペレット工場を併設している製材工場は通常、年間丸太消費量が20万立方メートル以上の工場であり、これらの大規模工場で発生する大量のおが粉をそのままペレット加工する副産物利用であれば採算が合えど、丸太からそのままペレットをつくるような場合には現在のエネルギー価格ではコスト的に合わないと言われています。供給施設を補助金で整備したものの、販路が確保できないために、利用施設を補助金で整備し、それでも採算がとれないのでランニングコストも税金で面倒をみようか、という事態は避けねばなりません。補助金の受給要件として一定の場合には一定の経営診断をするとのことですが、森林資源が豊富になってきている今、先行き不透明な供給サイドよりは、需要サイドの環境を一定期間で集中的に整備し、あとは市場メカニズムに任せるというスタンスが重要と考えます。
需要サイドでは、個人向けのペレットストーブ購入に関して先進国並みの補助率とするか、あるいは我々の足元をみると、11月定例会で取り上げました野菜・果樹などの園芸ハウスに加えて、温泉やホテル・旅館などの施設で相当の化石燃料を使っており、これらを重点的に薪やチップのバイオマスボイラーに置き換えていくだけでもかなりの需要開拓ができます。利用施設での木質バイオマスボイラーは1台ごとに大容量の燃費需要が見込め、森林資源の近くに立地して条件的に有利な箇所も多いでしょうから、こちらの方が短期的には優先度が高い事項かもしれません。以上の観点から、供給施設よりはむしろ、利用施設整備にかかる木質バイオマスボイラーやストーブなどの導入に予算の重点を振り分けるべきではないか、林務部長にお伺いします。

関連して3点目に移ります。建築利用にしてもバイオマス利用にしても、これまでバラバラに動いていたものを戦略的かつ具体的に工程表に落とし込み、地域における需要と供給を着実につなげていくことが肝要であり、その意味では今年度より始まった「信州の木自給圏構築事業」には期待を寄せています。この事業により、来年度にかけて県下5流域でそれぞれ地域の実情に合わせた取組みが始まります。
一方で、流域ごとに林業の実力差というものがあるでしょうし、一つの流域内でも、地域ごとに様々な温度差があるかもしれません。とりわけ、県産材利用は、路網整備や木材生産が活発化して初めて、そのシステム的な利用が可能になります。とすれば、施業集約・路網整備で先行する地域において集中的な投資を行い、その事情に合わせた県産材利用の模範的な事例を作り、まずは実績を作ってそれを他流域あるいは他地域に横展開していくという政策方針が有効ではないでしょうか。この事業の実施にあたり、先行モデル事業・パイロット事業の導入を求めます。木材自給圏の構築をいかに進めていくか、林務部長に見解を求めます。

さて、先の全国植樹祭の一週間前、「消える熱帯林 輸出先は日本」という大きな見出しが5月29日付の朝日新聞2面に載りました。記事によれば、ボルネオ島北部のマレーシア・サラワク州で、手つかずの熱帯林が急速に失われており、サラワク州から輸出される合板の59パーセントが日本向け、日本が輸入する合板の46パーセントがサラワク州産ということです。現地の汚職や腐敗も絡んで、州政権幹部や親族が伐採権を企業に乱発し、現地で発行された合法証明があれば日本でも合法とみなされる昨今、手つかずの熱帯林を乱伐し、先住民を迫害し、森林資源や生態系を破壊する状況は数十年来に渡って改善されていません。イギリスの王立国際問題研究所は2013年、日本が輸入する木材製品の約12パーセントが、違法伐採された木材が使われているのでは、と試算しています。
基本的に日本の違法流通規制は緩いので、現場で国産材、県産材をうまく使っていく仕組みをつくることの重要度は相対的に高くなります。信州で県産材を循環する仕組みを作っていくことの意義は県内だけにはとどまらず、国際的な環境負荷を軽減しうる面もありますから、そのような文脈からも、木材自給圏の構築に向けて果敢に施策展開して頂くことを望みます。時に植樹祭の折には、知事から県産材の利用推進に関して建築利用とバイオマス利用の2点を重要な柱とすることに言及して頂きました。それらを具体的にどのような方向性で進めていくおつもりか、木材自給圏の構築に向けての総括的立場から、より踏み込んだ説明を最後に知事に求め、私の一切の質問を終わります。