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自然保育についての一般質問

 

先の9月定例会一般質問では自然保育をテーマに扱った。
制限時間は8分。
質問文を以下抜粋して紹介したい。

(中略)

今月10日のOECDの発表によると、2016年に加盟各国が小学校から大学に相当する教育機関に対して行った公的支出のGDPに占める割合は、日本は2.9%で、比較可能な35カ国のうち、3年連続で最も低かったといいます。少子化に伴う労働力減少を前に、将来世代に惜しみなく投資をしていくことは国家的な課題であり、来月から始まる幼児教育・保育の無償化に際して、これからこの地域でどのような教育を施し、どのような人材をつくり、どのような社会を目指すのか、という点について改めて認識を共有せねばなりません。そこで今回は自然保育というテーマを通じて、これからの幼児教育のあり方を問うてみたいと思います。
まず自然保育というと、山里近いごく限られた場所で、一部の子どもたちが、まるで放牧されているかのように特殊な教育・保育を受けていて、まあそれは伸び伸びと過ごしているんだろうけれども、それでいて小学校からの団体生活にうまくなじめるのだろうか、実際にどこどこではかくかくしかじかの事例があったらしい、という類の懐疑的な見方があるのも確かです。
しかし近年の環境にまつわるSDGsの理念や幼児教育におけるエビデンスの数々に基づけば、これらの見方は正確ではないということが明らかになってきました。むしろ、後述の通り自然保育はできるだけ多くの園で推奨されるべきことであり、各関係事業の適宜適切な遂行を求めるものであります。たとえば平成27年度から始まった信州やまほいく制度は、今月で認定園が210園を数えるに至り、量とともに、これからは質がより求められる段階に来ています。制度の建付けが「屋外を中心とする様々な体験活動を積極的に取り入れる」こととなっていますから、それを実現するには園からほど近い場所に、子どもたちが自由に遊べる、それなりの自然環境が広がっていることが望ましいのですが、前回の一般質問で「花と緑のまちづくり」を扱った際も指摘したとおり、特に街なかの自然環境については課題の多い状況にあります。では肝心の園庭の環境はどうかというと、残念ながらこちらも、それを自然環境というには程遠い状況が散見され、というのは、ただでさえせわしなく動いている保育現場において、保護者の目が光る中で日本の園舎園庭が求めたのは、一重に効率と安心安全。耐久性や価格に優れたプラスチック製品を使おう、砂場に加えてブランコやすべり台など、一定のものが揃っていれば十分だという、単純明快で一見もっともな施しでありましたが、最近ではそれらが逆に子どもたちの多様な感性や危機管理能力など、目に見えない力を削ぐことになりかねない事実が明らかになってきました。また、若年者の引きこもりや自殺といった現代的課題が顕在化するたびに思うことは、その時々にいわば対症療法として講じられる措置や対応策に加えて、負の影響を効果的に抑制しながら子どもたちの自己肯定感や自尊心を育む、予防策としての教育システムを確立していかねばならないということであります。これらに鑑みると、人格形成の根幹をなす幼児教育の重要性を改めて見直し、山もあれば川もあり、そこには種々の生物が生息しているという長野県の多様な環境を縮小したような自然環境を子どもたちの近くに用意し、子どもたちが気兼ねなく体験を重ねられるよう努めるべきであります。
そしてそれは教育の実践方法についても同様で、近年の幼稚園教育要領、保育所保育指針、あるいは学習指導要領の流れを見てくると、「主体的・対話的で深い学び」が重要だということになるわけですが、では具体的に「主体的・対話的で深い学び」とは何なのか?という問いに、私はまさに自然保育があてはまると思っています。たとえばこの1、2か月の間に、県内外の幼稚園や保育所を見て回った中に、こういう幼稚園がありました。園の先生たちはそれを「プロジェクト」と呼んでいましたが、このプロジェクトを主体に、園のカリキュラムは組まれることになります。プロジェクトは6週間にわたり、6週間が過ぎたら2週間のインターバルを経て、また次の6週間にわたるプロジェクトが展開されていくのですが、では一体なんのプロジェクトなのかというと、それは先生と子ども、保護者がその都度あるテーマを設定して、クラス全員でそのテーマを探究するプロジェクトで、たとえば最近では「中世のプロジェクト」があったそうです。中世の絵本や資料をみながら、この地域では中世にどんな服が着られていたのか、どんな物が食べられていたのか、どんな音楽が流れていたのか、などに思いを馳せ、中世の格好をしてみたり、当時食べられていたものを森の中まで探しにいったり、それを時には調理してみたり、また地域の伝統音楽に触れる機会をつくったりする。それは地域を知り、愛着を持つことにもつながる。ということで、ひとつの具体的なテーマのもとに園児たちの主体性や探究心が集中的に育まれ、2週間のインターバルを経て、また次のプロジェクトに向けて発展的に昇華されていくとのことでした。その他には「鳥のプロジェクト」や「光のプロジェクト」など、自然を題材にしたものが多いようでしたが、いずれにしてもこれからは「教え、導く」という従来の発想を見直し、子どもたちの主体性を引き出し、寄り添う教育について、各方面での理解が不可欠と認識します。
そこで以下、具体的に伺います。前述の通り、今後は街なかでも植栽やビオトープ、自然素材を使った遊具を取り入れるなどの取組みが意識的に展開されていくべきと感じますが、園舎・園庭の環境改善に対して、自然保育の実践を可能にするガイドラインのようなものを、県単独で設けてはいかがでしょうか。またやまほいくの制度創設以来、認定を受けてきた数々の園には、認定を契機に一層教育環境の充実に努めてほしいところで、ひとたび認定を受けた園が、自然保育の質の向上を目的とする県主催の各種研修会や交流会に参加する率はどの程度なのか、気になるところです。実際先進的な取組みをしている園では、自然保育に関して意識の高い先生方がその先導的な役割を果たされており、認定園が増えてきたいま、県内数か所に自然保育を現場で学べるモデル園を設置して、恒常的に実際の保育を体験できる環境をつくれば、研修や全国各地から視察に訪れるようにもなり、自然保育の先進地としての情報発信を高水準で提供できると思いますがいかがかでしょうか。以上、ひとつには園舎・園庭の環境改善に関するガイドラインの策定、ふたつには、認定園の県主催研修会・交流会への参加実績、みっつにモデル園の設置について、県民文化部長の見解を求めます。
最後に知事におかれましては、就任以来一貫して教育政策の推進に努められてきたと認識しています。その中で、長野県における「主体的・対話的で深い学び」とはどのようなものなのか、そこで自然保育はいかなる位置付けにあるのか、所見を伺い、今回の一切の質問とします。